前回、「着物を着られないことが罪悪感に感じてしまう風潮がある」
ということについて書きましたが、
着るという”実技”だけでなく、”知識”の面でも「博学」を要求される世界だなと思います。
着物関係の検定試験、私も昨年、新設された「きもの文化検定」の4級を取得しましたが、
試験問題は、
着物の部位の名称とか、
着物や帯の種類とか、着物の歴史とか、ドレスコードとか
知識を問われるものでした。
着物に興味を持って親しんでいれば、自然に覚えられることばかりです。
でも、着物を着るために、
特別にテキストを買って、覚えるようなことではないな~と感じました。
第一、着物の染めや織りの種類、産地なんて覚えきれないほどの数がありますし、
着物の部位の名称も、
全部、答えられなくても着物は着られます。
着ることと知識はまったくの別物なのに。
知識がないと着られないような、そんなムードになっていると感じるのです。
そして、そのムードが女性たちが着物を遠ざけてしまう理由なのではないかと。
必要最小限の知識は自然と覚えられます。
で、それ以上のことは知らなくても大丈夫です。
必要なときに呉服店の人などに聞けばいいのです。
「今度、友だちの結婚披露パーティがあるのですが、
場所はちょっとカジュアルなレストランらしいんです。
着物はやっぱり訪問着じゃないと駄目ですか?」とか。
その結婚式で、フレンチのおソースで着物を汚しちゃった!なんてときも。
呉服店に電話をして「汚してしまいました。どうしたらいいですか?」と
適切なアドバイスをもらえばいいんです。
*ちなみに、汚してしまったら自分でなんとかしてはいけません。
放置、それが鉄則です。
お水でぬらしたハンカチで汚れを叩くなんて言語道断です。
乾いたハンカチやナプキンで汚れの水気だけを吸い取って、そのまま放置。
そして、なるべく早く、お手入れに出します。
知識はあったほうがいいのは確かです。
でも、医学には医学の専門家が。
法律には法律の専門家がいるように。
着物だって呉服店の人がいるので、質問すればいいし。
いろいろな本も出ているから、必要に応じて読めばいいし。
そんなスタンスでいたほうが、
着物を着ることを全力で楽しめると思っています。