祖母や母親、叔母さんなどから、着物を譲り受けることがあります。
「柄や色が若向きだし。もう着ないから」
たんすにしまっているぐらいなら、着る人に着てもらったほうがいい。
そう思って「着てちょうだい」と譲ってくれるのです。
ワードローブが増えるのは、大変、うれしい。
けれど、こうして譲られる着物のほとんどは何らかのお手入れが必要です。
長いこと、たんすにしまわれていたためにちょっとカビくさかったり。
寸法が合わなかったり。汚れがあったり。
「汚れていて、寸法が合わない着物」をどうするか? というと、
「洗い張り」に出して、着られる状態にお手入れしてもらいます。
「洗い張り」とは、着物をいったん、ほどいて洗ってもう一度、
仕立て直すというお手入れ方法です。
仕立て直すときに、自分サイズにしてもらえばいいのですが、
仕立て直すわけですから、クリーニング代に加えてお仕立て料がかかります。
これは、どこのお店に出すか? によってお値段が変わります。
お手入れをするお店のことを「悉皆屋」(しっかいや)さんと言いまして、
直接、悉皆屋さんに持ち込むのもアリです。
ただ、店舗がそう多くないので、ほとんどの人は呉服店経由でお手入れを頼む
ことになります。
お値段は、店によってまちまちです。
また、着物の汚れ具合によっても変わります。
着ていれば自然と汚れてしまうというレベルであれば、ともかく、
食べこぼしのシミがあったりしたら、染み抜き料がかかります。
また、色褪せがあり、「染め直し」という事態になったら、もちろん、染め直し料がかかる。
「洗い張りして仕立て直し」をした場合、3~4万円の支出は
覚悟しなくてはなりません。
着物を買うと思えば安いものですが、3~4万円の出費は正直、痛いです。
もらった以上は着るという、人としての礼儀もあります。
このあたりの予算をどう考えるか。
着物道に迷い込んだ人の通る悩みなのかも知れません。
次回は、実際に私が依頼した「洗い張り」「仕立て直し」についてお話します。