着物業界には不思議なことがたくさんありますが、その不思議は
「なるほど!」と感動するものと、「なんで?」と疑問に思うものの2種類があります。
先日は「なんで?」と首をかしげてしまう出来事に遭遇したのですが、
そのことを通じて、
常識、非常識ってナンだろう? と考えさせられました。
たとえば、何かを「欲しい」と思ったとき。
ネットサーフィンをして、売っている場所を調べようとします。
だけど、「これっ」といった情報が出てこなかったり、
お店や企業のHPがなかったりすると、私たちは「なんで?」って思うのです。
「なんで、HPもないんだろう? いまどき」と。
そんな消費者の声にこたえようと、お店や企業はHPを作る。
だから、いまやなんでもかんでもネットで調べられるし、買える。
確かに、大変、便利です。だけど、
それが、当たり前だと思っているから、
ネットで調べられないことに対して、不快感を抱いてしまう。
「不親切だ」、「不便だ」と。
ネットで調べられないことが、そんなにいけないことなのかしら? と
自戒を込めて、思ったのです。
着物を着ていると、「出会い」としか形容できない買い物をすることがあります。
昨日出かけた「日本のおしゃれ展」併設の催事には、
足袋屋さんが出店していて、サイズを見てくれました。
その結果、私の積年の
「足袋のサイズが分かりません」問題が解決しました。
この道50年というオジサンが、私の素足をひと目見て「あなたはコレね」と
サンプルの足袋を探し出し、履かせてくれる。
あら、ビックリ。こんなにすごいフィット感、初めてだわ!
正しい足袋の履き方や洗い方を教えてもらい、
目からうろこが落ちすぎて、ドライアイが悪化したほどです。
こういう経験はネットではできないなあと、
嬉しい気持ちになったのです。
ネットは確かに便利。
だけど、職人さんの「技」とか、長年の「経験」とか、
そういうものに触れる機会を失ってしまうのも事実。
時間はかかるけれど、自分の足で欲しいものを探すのも、
着物ライフの醍醐味のひとつです。
冒頭で述べた「なんで?」な出来事は、ネットに慣れ親しんだものとしては
ちょっと不快な出来事でした。
でも、ネットが当たり前になっているから、
不快に感じるということに気がついた途端、
「アナログであることにも意味があるのだ」と、しみじみ感じたのでした。