今週も、着物とは違うお話をば。
女同士の語らい、「ガールズ・トーク」はとても楽しい。とくに、恋愛関係の話題は盛り上がります。しかし、この「ガールズ・トーク」をしていて、ハタと気付いたのです。
「話しているうちに、どんどん、真実から遠ざかっているのでは?」と、いうことに。
例えば、好きな彼にメールを送ったとします。で、その返事がなかなかこないとする。そんな話を女同士でしていると、「普通は~」というフレーズが登場します。
「普通、好きな相手からのメールだったら、即レスするものじゃない?」という具合に。
果たして、「即レス」は「普通」のことなのでしょうか?
もしかしたら、意中の人は超忙しいのかも知れません。メールをくれた彼女のことは気になる存在。ゆえに、「なんて返事をしようかな」と、あれこれ考えてしまって、返事が遅くなっているのかも知れません。彼の心の動きなど、誰にも分からない。なのに、「普通なら」と想像でガールズ・トークは進んでしまいます。
「そうだよね。普通、好意を持っていたら返事くれるよね?」と。
もしかしたら、意中の人はケータイメールが不得手なのかも知れません。文章を打つのに時間がかかるので、電車で移動中にアレコレ文面を考えて打っているうちに、目的地の駅に到着。クライアントと打ち合わせをしている間は、当然、メールなど打てません。帰社する途中も文面を考えますが、考えているうちに会社に着いてしまった。会社に着いたら、いろんな仕事が山積み…。あ、気付いたら終電だ。もう、こんな時間じゃ、返信したら失礼かも知れないし…。こんな風に、1日が過ぎているのかも知れませんよね?
なのに、ガールズ・トークでは「返事が遅いのは、さほど関心を持ってないからに違いない」という結論に達してしまう。彼からの返事を待っていた貴女も、なんとなく、そんな気になってしまい、芽生えかけていた恋のテンションが急降下してゆく。
恐るべし、ガールズ・トーク。
このように、女性には、多かれ少なかれ、「推測で結論付けてしまう」という、悪いクセがあります。想像力が豊かゆえ、なのでしょうが、冷静に観察していると、まったく根拠の無い推論で結論を出して、納得してしまう、というプロセスをたどっているのですね。
世の中にはいろいろな人がいます。考え方もひとり一人違う。だから、本当は人の感情は「普通は」では括れないのだと思うのです。
「普通は」で語れるのは、法律とか冠婚葬祭のしきたりとか、確固たる「ルール」が存在するものだけなのです。
ガールズ・トークは楽しいし、恋をして不安な心を慰めてくれるし、勇気付けてくれるし、オンナとして生きる上で欠かせないもの、だと思います。
でも、同時に「推測で結論を出し、納得してしまう」という、リスクがあることを、忘れないでいて欲しいのです。
「なぜ、返事をくれないのか?」という問いをして、それでも相手が返事をくれないようならば、その恋が実る確率はきわめて低いでしょう。でも、「返事をくれない理由」を確認するまでは、真実は分からないのですもの。