松山バレエ団の新春公演、新『白鳥の湖』を観てきました。
バレエを観るのは初めてなので、「何を着てゆくのがいいのか」がまったく分かりません。そこで、「困ったときは着物」の法則で、着物を着ることに。観劇や音楽鑑賞時のお作法である、「柔らかもの」をチョイス。切りバメ風の紫の江戸小紋に、白地に花模様の名古屋帯にしました。
「観劇や音楽鑑賞のときは、柔らかもの」というのは、紬などの衣擦れや、博多帯特有の絹鳴りなどの音が演奏の邪魔になるからです。
華麗なステージにうっとりしつつ…。主役の森下洋子さんの素晴らしい踊りに感嘆していたのですが、森下洋子さん、なんとオカンと同世代であることが判明。驚きの余り、お口あんぐりです。うちのオカン、去年、還暦……。一流の人たちの凄みというのでしょうか。舞台にかける情熱を目の当たりにし、そして、「バレエ通でなくても楽しめるように」と配慮された、エンターテイメント性の高さ。オーケストラによる演奏という贅沢さを満喫して参りました。
一流の舞台のお話しの後に恐縮ですが…。
バレエ、と言えば。
昔々、幼稚園時代にバレエ教室に通ったことを思い出しました。ある日、森下洋子さんと同世代の母に、「バレエ教室に通いましょう」と言われ、練習用のレオタードとシューズを買ってもらいました。檸檬色のレオタードを着て、3回ぐらい通った後、突然、母は言いました。「貴ちゃんは、身体が弱いから、やっぱりバレエは辞めましょう」と。
幼稚園児でしたので、素直に「うん」と言い、バレエは辞めました。
大人になったある日のこと。「そういえば、身体が弱いから、とバレエを辞めたよねえ」なんて話題になったとき、母は衝撃の事実を私に告げたのです。
「あれはね、辞めたんじゃなくて、『もう、こないでくれ』って先生に言われたんだよ」と。
つまり、クビ。わずか、3回で。幼稚園児なのに。
どうやら、問題児だったらしいです、私。先生の話をロクに聞かずにお喋りしている。他の生徒の邪魔になる、というのがクビの理由でした。
私自身はお喋りをしていた、という意識も無く、一生懸命、練習に励んでいたつもりだったので、その事実はかなりショックでした。
思い起こせば、バレエ、ピアノと西洋系の習い事はことごとく惨敗。続けることができて、大人になった今、「習ってよかった」と言えるのは、お習字と着物……。和のお稽古事だったら、お喋りをせずに精進できたのかも知れません。
そんな、封印されていた苦い過去を思い出しながら、帰宅したのでした。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。