草履は、ついつい「履きやすい」ものばかりを履いてしまうため、踵の裏のゴムの磨り減りが激しくなってしまいます。この草履は、台がコルクでできているため、軽くてクッション性があります。加えて、ツボ(赤い部分)が中央ではなく、親指とその他の指の配分に応じて、内側に寄っているので、さらに歩きやすいのです。
お気に入りの草履ゆえ、磨り減りが激しくて。ゴム底を交換してもらうため、履物やさんに”入院”しておりましたのを、昨日、”退院”させてきました。
今回はゴム底だけでなく、赤いツボの部分の麻紐(ツボを縛っている紐)が擦り切れそうになっていたので、そこも交換したとのこと。
「擦り切れそうでしたので、勝手に交換させていただいたのですが…。よろしいでしょうか?」
と、申し訳なさそうになさるお店の方。
「もちろんです。知らずに履いていたら、ブチッといってましたよね?」と私。
「ええ、ブチッとなっていたかと…」とお店の方。
この「ブチッ」。時代劇などでお馴染みの、「鼻緒が切れちゃって、どうしましょう? となっているところに、『お嬢さん、どうしました?』と武士とかがやってきて、手ぬぐいを割いて修理してくれる」というシーンの「ブチッ」です。
武士がいない今、手ぬぐいを割いて直してくれる人は多分、いません…。なので、たまには、ちゃんと履物やさんでチェックしてもらうことが大切だなあ、と痛感したのでした。
ちなみに。ゴム交換が525円。ツボ交換が1575円でした。
どうして、ツボの麻紐の異変に気付いてもらえたか? というと。鼻緒の緩み具合だそうです。履いている分には、分からなかったぐらいの緩みをひと目で見抜くとは! プロの仕事だと感激しました。
そして、「プロとは、奥ゆかしいものなのだ」と学んだのでした。お客様に恥をかかせないような言い回しで、そっと「相当、痛んでいました」という事実をお知らせしてくれるお気遣い。こういう、奥ゆかしい接客を受けられるのは、着物や着物にまつわる和物アイテムを扱うお店ならではだと思うのです。
和物のお店とお付き合いをしていると、時々、「え?イマドキ?」と驚くことがしばしばあります。メールでやりとりしないのは当たり前だし、ホームページがないお店も多い。納期は1~2ヶ月とおおまか。アポなしで来訪を受け、あいにく留守にしており郵便受けに名刺を発見することも。
そういう、「え?イマドキ?」な慣習に違和感を覚えたこともありましたが…。最近では、その昔ながらな感じと、奥ゆかしさに、ホッとするようになってきました。
今日は、直してもらった草履を履いて、出かけようと思います。
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