枇杷を食べると、初恋のことを思い出します。
小学生の頃、自宅の近所のマンションの植え込みに枇杷の木があって、この季節になると実がなりました。その実を初恋の君が、「食べられるよ」と、木登りをしてとってくれ、公園の水飲み場で洗って一緒に食べた…。ただ、それだけなのですが。大人になってから、店頭に枇杷が並んでいるのをみつけるたびに、このときのことを思い出すことに気が付いて。枇杷が私にとっての初恋の想い出となっているのだなあと自覚したのです。
初恋の君とは小学校の6年間、ずっと同じクラスだったのですが、6年生の秋、彼は転校してしまいました。電車で20分ほどの、たいした距離ではない転校でしたが無力な小学生にとってその距離は、果てしなく遠かった。
「お手紙を書きましょう」と担任の先生が黒板に書いた、彼の転居先の住所を書き写し、手紙を何度か書いたものの。結局、一度も投函できませんでした。
初恋の君が引っ越す前日。その数日前に初めて行った東京ディズニーランドで買ったお土産を渡したのが精一杯でした。その年の春にオープンした東京ディズニーランド。「開業〇周年」の報道も、初恋の君との想い出をよみがえらせるきっかけになるのでした。
この一週間、自宅軟禁状態で原稿を書いておりました。そのため、ちょっとおセンチに想い出にふけりまくったりしてしまったのですが、なんとか明日には脱稿できそうです。
今回、初めて物語を書きました。脱稿したら、しばらくは抜け殻になりそうです。