よく、「どういう、きっかけでお着物を着るようになったんですか?」という質問を受けます。
それは、小学2年生のときのことでした。祖母が作ってくれたウールのアンサンブルの着物に袖を通した時、『私は着物のほうが似合う』と気付いたのです。
当時、”バーバー・ママ”にて、新聞紙の上に座って散髪しておりましたので、”バーバー・ママ”の唯一のスタイリング、おかっぱ頭をしておりました。おかっぱ頭に着物。今、振り返ると、それは「いつの間にか、髪が伸びている」という怪談話に出てくるお菊人形のような姿でしたが。「着物が似合う」という点においては、抜群のヘアスタイルでした。数年前、加齢現象で二重瞼になりましたが、それ以前はしっかりとした一重瞼人生。髪が伸びるお菊人形が動いているような容姿でしたから、フリルのついたワンピースなど、致命的に似合わない少女だったのでした。
心の中ではずっと「着物を着たい」と願い続けていたものの、子供の力ではどうにもならず。成人式の前後に「練習」として何度か、着物に袖を通した結果、「やはり私は着物が好きだ」と確信。社会人になって、自分の力で着物を購入しはじめたのが、今へとつながっているのです。
幼稚園の頃の私は、写真を撮るときに、いつも首をかしげておりました。たぶん、お菊人形のような自分を少しでもかわいく見せようという工夫だったのでしょう。
先日、着物の撮影がありました。
カメラマンさんから「首をかしげてください」とリクエストされ、幼少時の思い出がよみがえりました。
『大人になって、大好きだった着物を着て、首をかしげて写真を撮ってるよ』
お菊人形だった私に、教えてあげたいです。