首都圏の物流も、かなり緩和されてきたように感じていますが、商品によっては、店頭に並べた途端に品切れになるものも、まだまだ、あるようです。
食料品やトイレットペーパーなどの日用品を「買い占めている人」がいる様子ですので、非常時のプロへの取材で聞いた、「備蓄」についての考え方をもとに書きますね。
まず、地震ですが、「どこにいるときに被災するか」は分かりません。また、被災の状況によっては、備えていたものを100%活用できるとは限りません。
ですから、たっぷりと買い占めてストックしていたとしても、自宅で被災し、かつ、自宅もそれらの品々も無事、という状況でなければ買い占めたものを役立てることはできないのです。
ですから、買い占める、という行為にはあまり意味はない、というのが、その専門家の意見でした。
では、どうしたらいいのか? 取材経験をもとにシミュレーションしてみると……。
今、自宅にいられて、停電の影響などはあれど、ライフラインにも損傷がない、という人々の状況でかつ、健康である人ならば、3日間を過ごせる備えがあれば、あとはどうにかなる、と思われます。
3日分食いつなげる食糧、といっても、有事の時に3食きっちり食べたりはしませんから、1日、1.5食くらいのイメージで良いかと思います。こういうときに「栄養バランスが!」などと悠長なことも言っていられませんから、クッキーやクラッカー、チョコレートなども立派な食糧になります。
生活物資についても、トイレットペーパーは1回の使用量とロールの長さを換算すれば、どのくらいのストックがあればいいのかは見当がつきます。そうやって、必要量をこの機会に「調べる」こともいいのではないでしょうか?
私は車を持っていませんが、ガソリンについても、自分の車の燃費から換算して移動可能距離を知っておく。通院などで車が必要、という方もいるでしょうが、できる限り、タクシーやバスなどの公共交通機関を使う方法を検討することも必要だと思います。
そういうことを知っておけば、「意外と、大丈夫」なことが分かり、安心できますよね。それに、首都圏の物流も、日を追うごとに少しずつですが改善されつつあります。「まったく商品が入ってこない」わけではないし、「今日は買えなくても、あさってには買えるかも」という印象です。
店に行けば手に入るという便利に慣れていたため、私もそうですが、実際に自分がどれほどの量を使っているのか、無頓着になっている人も少なくありません。
それが、不必要な買占め行為につながっているのではないかと感じています。また、震災によるストレスや不安から無意識のうちに、普段通りの生活に戻したいという気持ちも高まっているのかも知れません。
でも、時は戻せません。
この状況から、一人ひとりが「必要なこと」「不必要なこと」をふるいにかけて、取捨選択し、生き方、暮らし方そのものを見つめなおすことが大切だと思うのです。
ですから、この機会に、電気も水道もガスも含めた「必要最小限の量」をシュミレーションしてみることは、よい経験になるのではないかな、と考えたりしています。
備えておきたいのは、「人と貸し借りしたり、あげたり、もらったりできないもの」です。処方薬やコンタクトレンズ、メガネなどですから、そういうものを「備える」ようにしましょう。
ガソリンや食糧は、助け合える、譲り合えるものです。譲り合える人間関係があるならば、買い占めなどという発想にはならないと思うのです。
今日は少し、春めいた日差しで、気持ちが少しホッとしますね。
今、こうして生きていることに感謝しつつ。
生きている以上、「これからは、自分にできることをやろう」と思う今日この頃です。