昨日、叔母から電話が。
叔母の叔母さんにあたるご婦人、話がややこしくなるのでA子さんとしましょう。
そのA子さんが、着物を買い取り業者に引き取ってもらったのだそうです……。
高齢になって身のまわりを整理することの一環だったようです。
その整理に際し、叔母は「たかちゃんが着物を着るから」と言ってくれ、
A子さんも、「それなら、たかちゃんに着てもらいましょう」なんて話をしていたそうなのですね。
A子さんがひとりで在宅していたときに、その業者はやってきたらしく。
叔母が昨日、A子さんのところに行ってみたら、
「箪笥、からっぽになってて。全部、もっていかれちゃった」
のだそうです。
A子さんが高齢であることをいいことに、勝手にちゃっちゃと風呂敷に包んで去っていったらしく。
手元においておきたかった着物も、私に譲ろうと思っていた着物も。
すべてなくなっちゃった、というのです。
古物買い取りの書類にサインをしている手前、苦情も言えない。
さらに、お世話になっているケアマネージャーの紹介の業者だから、
文句も言えないのだというのです。
買い取り、とはいえ、渡されたのは
「おしゃれなお店で外食したら1回でおわり」という程度の金額。
これは、高齢者を食い物にした、悪質な商売なのではないか? と憤る叔母。
着物を見せて「これはいくらで、こちらはいくらでになります」的なやりとりもなかったらしい。
そういうやりとりがあったら、「これは親戚に譲るので残してください」と言えたのにと、
A子さんは、いっさいがっさい持って行かれちゃったショックで
3日も寝込んでしまったのだそうです。
着物って、女性にとってはそういうものです。
ここにある、というだけで心が豊かになるし、思い出の一枚ってこともあるのですよね。
とくに高齢になってくると、そういう思いもひとしおだと思うんです。
だからね。
ケアマネージャー、よけいに具合悪くさせて、それってどうなのよ? とも思うし。
高齢のご婦人のそういうメンタリティも、分かってないのか? と思うとやりきれませんね。
長々と書きましたが。
みなさまも、ご高齢の家族や親戚縁者の方々の着物を整理しようという話が出たときには、
くれぐれもご用心くださいませね。
こんな風に、精神的なショックを受けさせられて、
寝込んでしまうきっかけになりかねません。
高齢者は、ちょっとした不調から深刻な体調の変化に
見舞われることが少なくないといいますでしょ?
そんなことになったら、やりきれませんよ。
傍目には「そんな着物、もう着ないでしょ?」という代物であっても、
シミがあっても、古ぼけていても、
本人にとっては、大切な一枚であることが少なくないんです。
着物のことは分からなくても、着物を整理する、というときには
若人が同席して、しっかり目を光らせてあげてくださいね。
もし、そこで「着物っていいな」と思ったら、
着物デビューも悪くないですよ~!