ずっと「でこぼこ着物道」というタイトルで本ブログを書いてきましたが。
この頃、自分の中で『着物って、書道、華道、武士道のように、やっぱり”道”だなあ』と、それまでは漠然としていたものが、形になってきたように感じております。
で、新カテゴリを作ることで、自分を鼓舞し、「着物道」について自分なりの考えを深めていきたいと思いました。
書道は習っていたことがありますが、それ以外の”道”は取材をしたことがある程度の知識しか持ち合わせておりませんので、あんまり偉そうなことは書けませんが……。
数多の”道”に通じるのは、技術が優れているかどうか、という表面的なことではなく、内面的な成熟があって、はじめて、技が磨かれるという点だ、と、ずっと感じておりました。
着物を着ることは、型どおりの手順があって、それをマスターできれば誰でも着ることはできるようになります。けれど、「美しく着こなす」ためには男性も女性も、手順を覚えただけではダメなのです。
もう、お支度の段階から、美しい着姿になれるかどうかは、決まってきます。
例えば、腰ひも。これが、よれよれだと、上手に着付けができません。なので、腰ひもは五角形の形に畳みます(私はコレをペンタゴンと呼んでいます)。
ペンタゴンに畳むこともまた、誰もが知っているわけではありません。畳み方を知らない人は着付けを始めると、ペンタゴンの習得が必要となる。
すると、『っていうか。あたし、別に腰ひもの畳み方を習いたいわけじゃないのに』的な、気持ちになります。この時点ではまだ、腰ひもをペンタゴンにすることの、意味が分からないので仕方ないのですが。書道でいうならば、「墨をする」ことを先生に指導されている段階と同じような感じです。
『字が上手になりたいのであって、墨なんか、墨汁でいいじゃんか』くらいの気持ちです。
墨をすることの大切さを理解するのは、だいぶ、後になってからです。そして生徒は思います。『墨なんか、どうでもいいじゃないですか、と言わないでよかった』と。
話を着物に戻すと……。
なんで、ペンタゴンにするかというと、しわしわが伸びるのと、次に着るときに便利だからです。
しかし、着付けビギナーさんは、他の手順で頭がいっぱいですから、腰ひものシワなどという、些細なことに意識を向ける余裕がありません。それに、先には「帯を結ぶ」という結ぶ系で言ったら、主役級のテーマが待っているので、こんな裏方のちまちましたヒモのことなど、どうでもいいわけです。
結論を言ってしまうと、帯や着物という表舞台に出るメインアイテムよりも、裏方系の長じゅばん、肌着、紐系のアイテムが「要」となります。先人たちは、書物などで肌着の大切さを問いますが、ビギナーさんにはそんな地味なものを「大切だ」と言われてもピンときません。
「いいんじゃない? 安いやつで」
と、お買い得品を手にしがちです。
でも、これは家に例えると、基礎工事を安くあげて、内装やインテリアにお金をかける、という発想と大差ありません。
見た目はいいけど、脆弱。
という仕上がりになってしまうのは、家も着物も同じなのですね。
そんなことが、少しずつ、分かってくるにつれ……。
「安いから、これにしまーす」と買った裏方系アイテムが、使われずに放置されていくようになるのでした。
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こんな感じで、これから着物道についても、今までのお気楽記事と併せて書いていきたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします!
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