私はプッチンプリンが好きである。
だから、たまに食べる。食べるときはもちろん、プッチンする。
プッチンがよく分からない、と言う方はグリコのプッチンプリンスペシャルサイトをご覧ください。
なぜ、不惑にもなって、プッチンしたいかというと、幼少のころはプッチンをさせてもらえなかったからです。母が、「お皿が汚れるから、そのまま食べなさい」と言ったから。
素直な私はそれに従っていた。
『プッチンしたい』という思いをこらえて。
大きくなって、自分が汚したお皿は自分で洗えます、というくらいになってからはプッチンしていたけれど。小さい頃に禁じられた、という思いが、ずっとくすぶっているんですね。
大人になって、プッチンしたお皿を洗うことくらい、どうってことないじゃん、と思うんです。そのひと手間を避けたばかりに、ん十年もたって、こんなところで暴露されるくらいなら、お母さん、プッチン許しておけばよかったのにね、と思う。
けれど、幼少という時代を過ごしている子供にとっては、プッチン問題は、一大事なのである。
子供は人生が始まってからわずか数年しか経っておらず、交友関係も狭い。つまり、大人にとって「たいしたことじゃない」ことが、大きなイベントなわけです。
たまに、プッチンさせてもらえたときは、天にも昇る思いでしたっけ。
幼少のころ、食事の前にお菓子を食べるなど、言語道断でした。
しかし、この頃、母は夕食前だというのに「これ、食べていいよ」とチーズケーキやバームクーヘンとか出してくる。
言ってやりましたよ。
「お母さん、ご飯の前にそんなものを食べるなんて、ダメだって言ってたじゃん」と。
そしたら、
「あの頃はそうだったけど、今はいいんじゃない?」
と、平気で方向転換してきた。
いや、娘はもはや不惑であり、お行儀が、とか、ご飯が食べられなくなるから、とか、そういう理由じゃなくてね。基礎代謝が落ちてきてるので、いけないのですよ。ご飯の前にお菓子を食べたりしては!
「後で食べるよ」
というと、
「おなかがすいていたほうが美味しく食べれるよ」
と、とんでもない持論を展開してきた。
お腹がすいているときの甘いものは、エマージェンシー対応です。ワケあって、食事を食べそこなっているけれど、これから大切な取材があるので、仕方なくとか……。そういうときにのみ、許される行為です。
だから、プッチンプリンのことを持ち出してみた。
「お母さんがお皿が汚れるからダメって言ったけど。本当はプッチンしたかった」と。
そしたら。
「そうだっけ?」
親はまるっと忘れてる。けれど、子供はずっと覚えているということを、学んだのでした。